を寄せ集めたよう

 気が付くと、 いつの間にか、
 さっきは何も無かった空間に 気味の悪いものが見えた。
 胆きもとか 肝きもとか 腸に似たものを寄せ集めたようなものが、
 夕陽に染まって 血にまみれたようにも見える。
 肉色の茎に支えられて、 丁度 人間の腹の高さに浮かんでいる。
 突如、全体が ぐにゅりと蠢(うごめ)いたUlthera

 玲は 「うげっ」と 思わず声を上げた。
「いっちゃん、 それは何だ」
 穂田里は 吐きそうな顔だ。
「不気味草ぶきみそう」
「まんまだな。 それも植物なのか」

「天狗森のおとぎ話に 一度だけ出てくる」
 玲が さらりと指摘した。
「俺のことを散々馬鹿にしたくせに、 玲の方が詳しいじゃないか」
「知っている事と信じる事は別だ。
 月の雫花をとどめておける 唯一の物が不気味草らしい。
 衣都、 手に持っている心の臓に似ている物が 花芯なのか」 
 衣都が頷いて、 革袋に納めた臍帶血 作用

「天狗森と同じ植物があるという事は、
 天狗苺も大いに期待できるという事だ。
 やったな」
 穂田里が 少し元気を取り戻した。

《おい、 わしの言った事を信じておらんかったのか》
「天ちゃんが 霊気に満ち満ちていると言ったからには そうなのだろう。
 しかし、 天狗森とは 何かしら大事な事が違っている。
 実は、 天狗苺があるかは半信半疑だった」
 穂田里が、 珍しいことに、 首をひねって考えている。
《ほほう、 大事な事とは何じゃ》
「分からん。 だが、確かに違っている。
 もういい。 見つければ良いんだ。 ありそうな気がしてきた」
 衣都も小首を傾げたが、 やはり分からなかった。
 葛くずの蔓を引きちぎり、 梅の枝に結ぶと、 野営の支度にとりかかったBB免疫力